美容室の原価率を解説!

美容室の原価率を解説! 美容室

「売上は順調なのに、なぜか手元にお金が残らない」そんな悩みを抱えている美容室経営者の方は多いのではないでしょうか。実は、その原因の多くは原価率の管理にあります。

美容室経営において、原価率を適切にコントロールすることは、利益を大きく左右する重要な要素です。原価率をわずか数パーセント改善するだけで、年間数百万円もの純利益の差が生まれることもあるのです。

しかし、日々の営業に追われる中で、詳細な原価管理まで手が回らないという現実もあるでしょう。千代田区で美容室を経営されている方なら、地域特性を理解した税理士のサポートを受けることで、より効率的な経営改善が可能になります。

この記事では、美容室の原価率の基本から計算方法、理想的な数値、そして具体的な改善方法まで、経営に直結する実践的な知識をわかりやすく解説します。原価率を正しく理解し、適切に管理することで、あなたの美容室経営はより安定し、確実な利益を生み出せるようになるでしょう。

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美容室の経営における原価率とは

原価率の定義と重要性

美容院を経営されている方なら、毎月の売上と利益の差に頭を悩ませた経験があるのではないでしょうか。売上は順調に伸びているのに、なぜか手元に残るお金が少ない。そんな時に注目すべきなのが「原価率」という指標です。

原価率とは、売上に対してかかった材料費や仕入れ費の割合を示す数値で、経営状態を把握する上で欠かせない重要な指標となります。 一般的な飲食店や洋服店などの場合、売上に対して材料費が何パーセント占めているかを指しますが、美容室の場合は、サロンワークの売上に対して使用したシャンプーやカラーリング剤など、仕入れ費のことです。

経営において原価率を意識することの重要性は、穴の開いたバケツに水を入れる例えで説明できるでしょう。適切な原価率や計算方法が曖昧では、穴の開いたバケツに水を入れるようなもの。経費の無駄遣いにつながり、経営に影響を与えてしまいかねません。つまり、どれだけ売上を上げても、原価管理が適切でなければ利益として残らないということです。

原価率を正しく把握し、適切にコントロールすることで、同じ売上でも利益率を大幅に向上させることが可能になります。材料費や光熱費などの原価率をコストカットし、800円にすることができれば、原価率が8%となり、その分利益率を上げることができます。たとえば、月商700万円のサロンで原価率を10%から6%に削減できれば、その差額は28万円になります。28万円はまるっと純利益ですね。

美容室の原価率を正しく計算する方法

基本計算式と計算例

原価率の計算は意外とシンプルです。基本的な計算式を理解すれば、誰でも自店の原価率を把握できるようになります。原価率は「売上原価÷売上高×100」という計算式で求められ、これによって売上に対する経費の割合を正確に把握することができます。

具体的な計算例を見てみましょう。たとえば一回あたりの施術に必要な材料費や光熱費・人件費が1,000円と仮定し、売上が1万円だった場合、原価率は10%です。この計算方法を使えば、各メニューごとの原価率も算出できます。

実際の施術での原価率計算も重要です。施術に関する原価率は「1回あたりの原価÷メニュー料金×100」と計算します。例を挙げると、カット料金が6,000円で、使用するシャンプーやその他の材料費が合計60円だった場合、原価率は1%となります。

月間での原価率を正確に把握するには、在庫管理も含めた計算が必要になります。月頭の材料の在庫状況に、その月に仕入れた材料を足し、月末の材料の在庫状況を引いたものが「原価」です。そして、その月の売上で割れば、原価率が出ます。

実際の材料費の目安として、施術1回あたりに使用する材料の原価は、シャンプー…60円、パーマ剤…600~700円、カラー剤…300~800円、トリートメント…200円程度が一般的です。これらの数値を参考に、自店の原価率を計算してみることで、改善すべきポイントが見えてくるはずです。

美容室における理想的な原価率の目安

美容院経営において、どの程度の原価率を目標にすべきか悩む経営者は多いでしょう。業界の基準を知ることで、自店の経営状態を客観的に評価できるようになります。

美容室の原価率は10%前後が理想的だとされており、できれば8%程度を目標に設定することで、より安定した経営が実現できます。 飲食店など一般的な店舗では30%前後が理想だとされていますが、美容院はシャンプーやカラーリング剤ではなく、美容師の技術が売上に繋がります。

なぜ美容室の原価率は他業種と比べて低いのでしょうか。飲食店などは人件費を30%以下に抑えられるのですが、美容室だとなんと50%を超えてしまうことも多くあるため、このような原価率になっているのです。つまり、技術サービスが中心の美容室では、人件費の比率が高い分、材料費は低く抑える必要があるということです。

実際の経営で見ると、経営状態がよい美容室の営業利益率は、7~10%程度といわれています。この営業利益率を確保するためには、原価率を適切に管理することが不可欠となります。

売上高総利益率で見ると、美容業の場合の目安は約80~85%程度で売上と原価のバランスが良好とされています。つまり、売上の15~20%以内に原価を抑えることが、健全な経営の指標となるわけです。

ただし、店舗のコンセプトによっては高級な材料を使用することもあるでしょう。その場合でも、安くていいものを探したりツテを頼って安く仕入れたりして、少しでも仕入れ値のコスト削減をしていくことが大切です。品質を保ちながら原価率を適正に保つバランス感覚が、経営者には求められています。

美容室の原価率に含まれる費用要素

材料費(技術原価)

美容院の原価を構成する要素の中で、最も基本となるのが施術に使用する材料費です。これらの費用を正確に把握することで、効果的な原価管理が可能になります。

美容室における材料費には、シャンプー、トリートメント、パーマ剤やカラー剤といった薬剤類が含まれ、これらが技術原価の主要な部分を占めています。 その他にパーマやカラーの際には耳キャップや薬剤を浸透させるためのラップ、ヘアセットに使用するヘアオイルやワックスなども必要でしょう。

実際の使用量を金額に換算すると、意外と細かい積み重ねが大きな差を生むことがわかります。大体シャンプーボトルからワンプッシュで出るシャンプー剤はおよそ3gです。長さや毛量にもよって変わりますが仮に3プッシュ使っているのであればシャンプー一回に約84円のシャンプーを使用していることになります。

薬剤の使用量管理の重要性は、具体的な数字で見るとより明確になります。たとえばカラー剤80gで十分施術可能なお客様に90gを使用し、パーマ液40mlで済むところを50ml使用したとすると、10回、20回と積み重なると大きな差です。このような小さな無駄が、年間で見ると数十万円の損失につながる可能性があるのです。

店販売上の原価

店販商品の原価管理も、美容室経営において重要な要素となります。施術の原価とは異なる特徴があるため、別途管理する必要があります。

店販商品の原価率は一般的に70%程度と言われており、技術売上の原価率と比べて大幅に高い水準となっています。 美容室の平均的な技術原価は売上の10%前後、店販原価は70%程度と言われています。

例えば、販売価格2,000円のシャンプーを1,600円で仕入れたとすると、原価率は1,600÷2,000×100=80%となります。このように店販商品は利益率が低いため、在庫管理や販売戦略が特に重要になってきます。

しかし、店販商品は顧客満足度の向上や、施術以外の収益源として重要な役割を果たします。適切な商品選定と価格設定により、全体の収益性向上に貢献させることが可能です。

固定費・その他経費

美容室の原価を考える際、材料費以外の固定費や経費も含めて総合的に判断する必要があります。これらの費用は直接的な原価ではありませんが、経営全体の収益性に大きく影響します。

美容室の施術には材料費だけでなく、水道代や電気代、テナント料なども必要経費として考慮する必要があります。 美容室の施術には上記で説明したシャンプーや薬剤だけではなく、水道代や電気代もかかります。自宅開業の場合を除き、テナント料もかかってきます。

人件費は特に大きな割合を占める経費です。スタッフの技術力向上と高い技術を持つスタッフが長く働ける環境にするためには、人件費をかけることは非常に大切で、売り上げの30~50%は人件費にかかると言っても過言ではありません。

その他の固定費として、家賃の割合は売上の7~13%が理想的といわれています。また、広告宣伝費や通信費、保険料なども毎月発生する固定費として計上されます。

これらの費用を含めた総合的な経費管理を行うことで、実質的な利益率を正確に把握し、経営改善につなげることができるのです。

美容室の原価率を抑える方法

材料費のコントロール

美容院経営において、材料費の適切な管理は利益向上の鍵となります。日々の小さな工夫の積み重ねが、大きな成果につながっていきます。

カルテに施術の詳細な記録を残し、どの材料をどのくらい使ったのかをスタッフが把握しやすくしておくことで、次回の施術で無駄を少なくすることができます。 美容室の材料のなかでもカラー剤を例にとると、オーダーを受けてから調合するため、必要以上に使ってしまっても戻すことができません。だからこそ、適切な使用量の把握と記録が重要になるのです。

仕入れ方法の工夫も効果的です。販売元によっては、まとめ買いをすると割引をしてくれるところや、キャンペーンなどで割引価格で販売されるケースもあります。また、「大量に」「定期的に」など、仕入れ方法を工夫することによって値引きをしてもらえるケースもあります。

在庫管理の徹底も原価率改善には欠かせません。カラーやパーマ材料などの在庫をスタッフ内で把握・管理し、顧客のオーダーに応じて材料を適切に使い切るよう、営業後に帳簿への残量を記入するなどし、管理することで、無駄な在庫を抱えることなく、効率的な運営が可能になります。

固定費の見直し

固定費の削減は、即効性のある原価率改善策として注目すべきポイントです。お客様の満足度を損なわない範囲で、様々な工夫ができます。

光熱費のコストカットには、電球をLEDに変えることが効果的で、初期投資は必要ですが長期的には大幅な経費削減につながります。 通常の白熱電球が1,000~2,000時間程度使用可能な一方、LEDであれば単価は高いですが1万3,000時間ほど使用できるため、コストパフォーマンスに優れています。

家賃についても見直しの余地があるかもしれません。まずは店舗の規模と家賃とのバランスを考え、家賃が相場よりも高い場合は家賃の値下げ交渉をする、もしくは別の経費を削減しましょう。特に長期間同じ物件を借りている場合は、交渉により賃料を下げられる可能性があります。

広告宣伝費の最適化も重要です。美容室の立地やそのほかの条件によって、効果的な広告方法が異なります。費用対効果を検証し、本当に集客につながっている広告媒体に絞り込むことで、無駄な支出を削減できるでしょう。

経費全体の管理と在庫最適化

経費管理を成功させるには、スタッフ全員の協力と意識改革が不可欠です。組織全体で取り組むことで、より大きな成果を得ることができます。

原価率を下げることが美容室にとってどんな利益をもたらすのかを説明し、その分給料に反映できるかもしれないことを伝え、スタッフ全員で節約に取り組む雰囲気を作ることが重要です。 光熱費や材料費は、一回一回の無駄をなくすことが節約につながります。そのため、スタッフの協力や意識改革が欠かせません。

目標設定と共有も大切な要素です。まずはしっかり原価率の適正値を把握し、目標を設定することが大切です。現状の原価率と現実的な原価目標を定め、スタッフとも共有しておくといいでしょう。

ある成功事例では、業界平均で10%に抑えれば良いとされている美容室の材料原価率を6%台に削減することができた実績があります。このような大幅な改善は、日々の地道な努力と、スタッフ一丸となった取り組みの結果といえるでしょう。

在庫の最適化においては、売上予測に基づいた仕入れ計画が効果的です。過剰在庫は資金繰りを圧迫し、不足は機会損失につながります。適切なバランスを保つことで、原価率の安定化と経営の効率化を同時に実現できるのです。

美容室の原価率改善による効果と注意点

美容院の原価率を改善することで得られる効果は、単なる利益増加だけにとどまりません。経営全体に波及する様々なメリットがある一方で、注意すべき点もあります。

原価率が1%違うだけで利益は大きく変わり、例えば月商700万円のサロンで原価率を4%削減できれば、年間で336万円もの純利益増加につながります。 原価率が1%違うだけで、利益は大きく変わってきますよね?例えば月商700万円で、原価率が10%だったら単純計算で70万円、一方原価率が6%だったら42万円となり、その差額は28万円になります。

この利益増加がもたらす経営への影響は計り知れません。28万円の利益を出すのに、どれだけ施術で売上を行わないといけないか考えてみましょう。例えば40%バックのお店の場合、280,000÷0.4=700,000となり、70万円の売上が必要ということになります。ほぼスタイリスト1人分の売上ですよね。

しかし、原価率の削減には注意すべき点もあります。ただやみくもに経費を削減することは、必ずしも美容室経営にプラスになるとは言い切れません。過度な材料費削減は、施術品質の低下を招く可能性があるからです。

原価率は低ければ低いほど利益が多くなります。しかしあまりに原価率を抑えすぎても、経営に支障が現れるかもしれません。施術費用に対して、満足できない結果であれば失客してしまう可能性もあります。お客様の満足度を維持しながら、いかに効率的な経営を行うかというバランスが重要になってきます。

原価率改善の取り組みを進める中で、経営数値の管理が複雑になることもあるでしょう。特に複数店舗を展開している場合や、スタッフ数が多い大規模サロンでは、詳細な原価管理に多くの時間と労力が必要になります。このような場合、専門的な知識を持つ税理士などの専門家のサポートを受けることで、より効率的で正確な経営管理が可能になります。

千代田区で美容室を経営されている方々も、日々の業務に追われる中で、原価率の詳細な分析まで手が回らないことも多いのではないでしょうか。地域の特性を理解し、美容業界に精通した税理士のアドバイスを受けることで、適切な原価管理と税務対策を同時に進めることができます。経営の数値を正確に把握し、適切な改善策を実行することで、より安定した美容室経営の実現につながっていくのです。

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美容室の原価率管理のまとめ

美容室経営において原価率の適切な管理は、利益を大きく左右する重要な要素であることがわかりました。売上に対する材料費の割合を示す原価率は、理想的には10%以下、できれば8%程度に抑えることが健全な経営の指標となります。

原価率の計算は「売上原価÷売上高×100」という基本的な式で求められ、日々の施術における材料使用量の記録と管理が改善の第一歩となります。わずか数パーセントの原価率改善でも、年間では数百万円の純利益増加につながる可能性があるのです。

ただし、過度な経費削減は施術品質の低下を招き、顧客満足度を損なう恐れもあります。品質を保ちながら効率的な経営を実現するためには、材料費のコントロール、固定費の見直し、そしてスタッフ全員での意識共有が欠かせません。

千代田区で美容室を経営されている方にとって、地域特性を理解した税理士のサポートを受けることで、より精度の高い原価管理と税務対策を同時に進めることができるでしょう。

項目 理想的な数値 改善ポイント
原価率 8~10% 材料使用量の記録・管理
営業利益率 7~10% 固定費の見直し
人件費率 30~50% 生産性の向上
家賃比率 7~13% 立地と規模の最適化
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